研究・教育の紹介
政策研究大学院大学(GRIPS)准教授。開発経済学・政治経済学を専門としています。
私の研究では、テキストデータなどの非構造化データと機械学習・因果推論を組み合わせ、 途上国における制度・情報・社会規範が人々の行動をどのように形成するかを分析しています。 主な研究テーマには、司法の独立性と経済発展、ジェンダークォータと政治参加、 ソーシャルメディアが腐敗や社会規範に与える影響、共有資源管理における協力行動などがあります。
教育面では、データサイエンス・計量経済学の講義を担当するほか、 Webスクレイピング、テキスト分析、GitHubを活用した研究管理など、 実践的なスキルを身につけるチュートリアルセッションも開催しています。 近年は生成AIの研究・教育への活用にも取り組んでいます。
担当講義・教育活動
Data Science for Public Policies
政策立案のためのデータサイエンス手法を学ぶ講義。Pythonを用いたデータ分析の基礎から応用まで。
Advanced Econometrics IV
上級計量経済学。因果推論の最新手法、パネルデータ分析、プログラム評価などを扱います。
チュートリアルセッション
Webスクレイピング、テキスト分析、GitHubによる研究プロジェクト管理など、実践的スキルの習得。
AI for Research
生成AIを研究活動に活用する方法。文献レビュー、データ分析、論文執筆の効率化を支援。
研究紹介
キャリアインセンティブと司法の独立性:インド下級裁判所の実証分析
裁判官は公平に、誰からも干渉されずに、意思決定を下すことができるのか? 司法制度における組織内のインセンティブが、そのような独立性を阻害してしまうことはあるのだろうか——。 本研究では、裁判官の昇進インセンティブという司法組織内部の要因に注目し、 インドの下級裁判所における大量の判決文テキストデータを収集・分析。 因果推論の手法を用いて、裁判官のジェンダーバイアスを測定し、それがインセンティブによって歪められるのかを検証しました。
昇進を目指す裁判官は、女性の高等裁判所長官が着任すると、女性当事者に有利な判決を下す傾向があることを発見しました。 これは、裁判官が昇進のために上司である長官の選好に迎合している可能性を示唆しています。 さらに、こうした迎合行動は判決の質の低下を伴うことも明らかになりました。 本研究は、裁判所の組織内部における人事システムが司法の独立性を損なう可能性を示し、 制度設計の重要性を提起しています。
著書(分担執筆)
実証から学ぶ 開発経済学
途上国の経済発展を実証研究の視点から解き明かす入門書。 貧困、教育、健康、農業、金融など開発経済学の主要テーマについて、 最新のエビデンスに基づきながらわかりやすく解説しています。 ランダム化比較試験(RCT)や自然実験など、現代の開発経済学で用いられる 分析手法も丁寧に紹介されており、実証研究の面白さを体感できる一冊です。
第10章「制度と経済発展」
なぜ国によって経済発展の程度が異なるのか?この問いに対し、
法制度、所有権、民主主義といった「制度」の役割に着目して解説しています。
植民地時代の歴史が現代の経済パフォーマンスに与える影響など、
興味深い実証研究を紹介しながら、制度と発展の因果関係を考察します。
次世代の実証経済学
日本の経済学をリードする研究者たちが、実証経済学の最先端と今後の方向性を 「本論・コメント・リプライ」形式で熱く議論する一冊。 因果推論の発展、ビッグデータの活用、機械学習との融合など、 実証経済学が直面する新たな挑戦と可能性について、 多角的な視点から検討しています。
第2章「実証経済学の政策への実装」(園部哲史・黒崎卓)へのコメント
「経済学の社会実装に向けて——最新の研究動向と残された課題」
実証経済学の研究成果をいかに政策に活かすか、その方法論と課題について議論しています。
最新の研究動向を踏まえつつ、社会実装に向けて残された課題を検討しています。